インコース高め(インハイ)は、打者にとって最も“詰まらされやすい”ゾーンです。
バットの芯に当てにくく、差し込まれれば手元が窮屈になり、凡打になりやすいからです。
それでも大谷翔平選手は、普通の打者なら押し込まれて終わる球を、強烈な打球でスタンドまで運びます。
そこには偶然ではない、再現性の高い技術があります。
インハイが「詰まりやすい」ゾーンである理由

インハイが難しい最大の理由は、打点が身体に近くなることです。身体の近くでコンタクトするには、スイングの軌道を“内側で完結”させる必要があります。
ところが多くの打者は、バットの出どころが外回りになったり、前腕が早く伸びたりして、芯が遅れて入ります。
その瞬間に起きるのが、差し込まれ、詰まり、押し負ける連鎖です。
加えて、インハイは投手側から見ると「速球の強み」を最大化しやすいコースです。球威がそのまま詰まりに直結し、打者の反応速度も問われます。
大谷翔平のインハイ対応が突出する3つの要素
1)肘のたたみ方が“最短距離のスイング”を作る
大谷翔平選手のインハイ対応で特に注目されるのが、インパクト直前まで前腕〜肘まわりを上手くたたみ、身体の近くでバットを扱える点です。
この動きがあると、バットの軌道が外へ膨らみにくくなり、インハイでも芯を遅れずに入れられます。
「詰まらされる」打者は、最後に腕で間に合わせようとしてバットが止まりがちです。
一方で大谷翔平選手は、身体の回転と肘の収納が連動し、バットが内側からスムーズに加速していきます。
結果として、身体に近い打点でも“押し返す力”が残ります。
2)体の回転が先にあり、手は遅れない
インハイを強く打つには、手先の速さだけでなく「回転で打点を作れるか」が重要です。
大谷翔平選手は、下半身からの回転が早い段階で立ち上がり、上体は突っ込まずに回るため、窮屈な打点でもバットが走ります。
ここで大事なのは、回転が“突っ込み”にならないことです。
突っ込むと視線がブレて、芯がズレます。回転できても当たりが薄くなり、飛距離が出ません。
大谷翔平選手は軸を保ったまま回り、バットの芯をボールにぶつけ切ります。
3)速球の球威を「打球速度」に変換できる
インハイの速球をホームランにするには、当てるだけでは足りません。
必要なのは、球威に押し負けないだけのスイング強度と、芯で捉える精度です。
大谷翔平選手は、インコースの速球を強引に引っ張るのではなく、ミートの精度で打球速度を引き上げます。
その結果として、インサイドの速球を“つぶす”のではなく、“跳ね返して運ぶ”打球が生まれます。
インハイをホームランに変える「技術の組み合わせ」

大谷翔平選手のインハイ打ちは、ひとつの特殊能力ではなく、複数の技術が噛み合った結果です。
- 肘をたたみ、身体の近くでバットを扱える
- 軸を保った回転で、窮屈な打点でもバットが走る
- 芯で捉えて打球速度を上げ、球威を飛距離に変える
この3点が揃うと、インハイは「怖い球」から「長打にできる球」へ変わります。
観戦がもっと面白くなるチェックポイント
インハイ対応を見るときは、打球の結果だけでなく“過程”を観察すると面白さが増します。
肘が外へ逃げていないか
インハイで肘が外へ逃げると、バットが遠回りして差し込まれやすくなります。大谷翔平選手は、肘が暴れにくく、身体の近くでコンパクトに動きます。
頭と軸が残っているか
頭が投手方向へ突っ込むと、インハイは特に芯がズレます。
大谷翔平選手は回転しても視線と軸が残り、最後までボールを“芯で迎えにいける”形になりやすいです。
ファウルの質が変わる
インハイに強い打者は、ファウルでも打球が鋭くなりやすいです。差し込まれても弱いファウルにならず、手元で負けていないサインが出ます。
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大谷翔平インハイ打ちが異常まとめ
大谷翔平選手のインハイ打ちが異常と言われるのは、肘のたたみ方で身体の近くの打点を支配し、軸を保った回転でバットを走らせ、芯で捉えて球威を打球速度へ変換できるからです。
インハイは本来、詰まらされて終わる球になりがちです。しかし大谷翔平選手は、その“不利”を技術の組み合わせで“長打のチャンス”へ変えています。
次にインハイを捉えた打球を見たときは、肘・軸・打球速度の3点を意識すると、凄さがよりはっきり見えてきます。

