ドジャースに所属する佐々木朗希投手の5月と10月のフォームを比較すると、「目線(視線)」の使い方に明らかな違いが見られます。
制球を意識しすぎると、正面から両目でキャッチャーをしっかり見ようとして、フォームが早く開いてしまう。
一方、肩越しに視線を左に寄せてキャッチャーを見ておけば、体の開きを抑えたまま投げられる。
このような観察から、投手に対するビジョントレーニング(視覚トレーニング)は、コントロールやフォーム安定に大きな効果をもたらす可能性があると感じます。
以下では、この観点を踏まえ、実例を交えながら「目線・開き・視覚制御」に注目した投球理論とトレーニング観点を整理します。
# フォーム変化から読み取れる“目線の使い方”とは?
5月の段階では、佐々木投手はキャッチャー方向を正面から両目で捉えようとする意識が強く見られ、結果として体の「開き」が早くなる傾向が観察されています。
これに対し、10月ごろのフォームでは、肩越しに視線を左へわずかに寄せてキャッチャーを“寄り目”のように見る形を取り、体の開きを抑えたまま投球に入るような動作が確認されます。
この違いをまとめると、
- 正面視線 → 開きが早くなるリスク
- 肩越し/左視線寄せ → 開き抑制+安定性向上
という構図が浮かび上がります。つまり、視線の“角度”・“方向性”という非常に微細な要素が、投球フォーム全体に波及する影響を持っている可能性が高いです。
# なぜ視線(目線)が投球動作に影響を与えるのか?

投球動作における目線の役割を考えると、以下のようなメカニズムが想定されます。
- 軸意識・体幹制御への影響
視線が正面に向いてしまうと頭部・上体が前傾しやすく、体幹安定性を失って早期に“開き”につながる可能性が高くなります。反対に、視線を肩越しにわずかに左へ寄せることで、頭部の前傾を抑え、体幹の回転開始を遅らせやすくなると考えられます。 - 無意識的な補正(ビジュアルフィードバック作用)
キャッチャーを両目で捉えようと意識しすぎると、それを無意識に補正する動作(上体の動き・肩の旋回など)が働き、フォームにズレが生じやすいです。視線方向を工夫することで、その無意識制御の介入を最小化できる可能性があります。 - 安定した視覚入力と集中
打者や捕手方向への視線ブレが少ないと、視覚的ノイズが減少し、身体感覚やフォース伝達、タイミング制御が安定しやすくなる。これが制球精度や再現性に好影響を及ぼす可能性があります。
こうした観点から、目線を制御する能力を向上させる“ビジョントレーニング”は、投手における技術向上とフォーム安定において、かなり有益であると考えられます。
# 投手におけるビジョントレーニングの期待効果と実践例は?

ビジョントレーニング(視覚機能訓練)は、野球選手(特に投手・打者)において近年注目されています。以下にその効果想定や導入例を示します。
効果/目的 | 内容例 | 投手への応用 |
---|---|---|
目‐手協調性向上 | 追尾視・予測視訓練 | ボール捕球やグラブ操作にも通じる |
視線固定耐性訓練 | 視点を一点に固定するトレーニング | 投球開始時・キャッチャー注視姿勢の強化 |
視覚‐頭部運動統合 | 頭部回転しながら視線追従 | 肩越し視線とフォームの整合性を鍛える |
動的視覚能力強化 | 動く標的を追う訓練(動体視力) | 捕手のミット動作やバッターの動きを視ながら制球する能力向上 |
たとえば、肩越し視線の意識を高める訓練として、
練習や、
などを取り入れることで、フォームを崩さずに目線をコントロールする動きが身につく可能性があります。
MLBやプロ野球界では、視覚トレーニングを導入しているケースも増加しており、特に制球力や変化球の精度、投球の再現性向上に寄与したという報告もあります。
佐々木朗希ビジョントレーニングまとめ
5月と10月における佐々木朗希投手のフォーム変化から読み取れるのは、単なる体の動きだけでなく、目線の使い方にも技術的な改良がなされている可能性が高いという点です。
正面から両目で捉えようとする意識は、フォーム開きを招きやすく、逆に肩越しに視線を左へ寄せるようにすることで開きを抑え、安定性を高める動作が見られます。
このような観察は、投手に対するビジョントレーニングの導入可能性を改めて示すものであり、視線のコントロール力を鍛えることは、制球力・フォーム再現性・怪我予防の観点からも非常に有用なアプローチとなり得ます。
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よくある質問/Q&A
Q1:すべての投手に肩越し視線が有効ですか?
はい。すべての投手に“この方法が万能”というわけではありませんが、特に「開きが早くなる癖がある投手」「視線が不安定でフォームがぶれやすい投手」には、肩越し視線の意識付けは有効な改善手段になり得ます。
Q2:ビジョントレーニングを始める時期は?
できるだけ早いうち(アマチュア時代や育成段階)から導入するのが望ましいですが、プロに入ってからでも応用動作を練習に取り入れれば効果を得られる可能性はあります。
Q3:視線訓練だけで制球力は改善しますか?
視線訓練はあくまで補助的な手段であり、投球メカニクス、体幹強化、柔軟性、肩肘のメンテナンスなどと組み合わせて取り組むことが重要です。
Q4:視線を工夫しても開きが抑えられない場合は?
その場合は、下半身使いや股関節の連動、体幹回旋のタイミングを見直す必要があります。視線だけでなく身体運動全体を統合的に調整していくアプローチが重要です。
Q5:他の選手でも同じような事例はありますか?
詳細な公表例は少ないですが、投手フォーム解析を行う専門家や投球指導者の中には、「視線制御によって上半身崩れが抑えられる」といった指摘をするケースがあります。今後さらに映像解析と視覚計測技術の発展で、こうした傾向がより明白になると期待されます。