2025年シーズンのロサンゼルス・ドジャース最終戦。
大谷翔平選手は、自身が前年に作った球団シーズン本塁打記録を、再び自分で塗り替える55号ホームランで締めくくりました。
しかも舞台はレギュラーシーズン最終戦。
すでに54本で球団記録に並んでいる状態から、「最後の最後で55本目を打つ」という、ドラマの脚本のような展開でした。
この記事では、この「最終戦での55号」をテーマに、
- 大谷翔平の1打席あたりホームラン確率をざっくりモデル化するとどうなるのか
- 「どこかで記録更新弾が出る」ことと、「最終戦で出る」ことの確率はどう違うのか
- なぜ大谷翔平は“普通ならほぼ起こらない出来事”を、「起きてもおかしくない選手」に変えてしまったのか
を、あくまでざっくりとした確率モデルで楽しく分解していきます。
大谷翔平の「1打席ホームラン確率」はどれくらい高かったのか?
まずは前提として、2025年の大谷翔平選手の成績イメージをざっくり置いてみます。
- 本塁打:55本
- 出場試合数:おおよそ150試合前後と仮定
- 打席数:650打席前後と仮定
ここから「1打席あたりのホームラン確率」をざっくり計算してみます。
- 1打席あたりのHR確率
≒ 55本 ÷ 650打席
≒ 約0.085(8.5%)
つまり、
大谷翔平は「10回に1回弱のペースでホームランを打つ打者」
と見なせる計算になります。
一般的な強打者でも1打席あたりのホームラン確率は数%台に収まることが多いです。
それに対して8%台という数字は、ほとんどゲームキャラの設定値のようなレベルと言ってもよいくらいのインパクトがあります。
この「1打席8.5%」という前提が、のちほどの“確率の話”の土台になります。
1試合でホームランが出る確率はどのくらい?“3試合に1回HRデー”になる理由とは?

次に、「1試合にホームランが出る確率」を考えてみます。
ここではシンプルなモデルとして、
- 1試合あたりの打席数:4打席
- 各打席は独立していて、毎回ホームランになる確率は8.5%
という前提を置きます。
1打席でホームラン“にならない”確率は、
- 1 − 0.085 = 0.915(91.5%)
です。
4打席すべてでホームランが出ない確率は、
- 0.915⁴ ≒ 0.70弱
となります。
つまり、「その試合で1本もホームランが出ない確率」は約70%。
逆に言えば、
- その試合で少なくとも1本ホームランが出る確率
≒ 1 − 0.70 ≒ 約30%
となります。
これはざっくり言うと、
「大谷クラスになると、3試合に1回は“ホームランデー”になる」
というイメージです。
普通の選手にとってホームランは「たまに出るご褒美イベント」に近いですが、
大谷翔平にとっては「3試合に1回ぐらいは起きてもまったく不思議ではない日常イベント」になっている、ということです。
記録更新弾が「どこかで出る」確率は?残り6試合をざっくりシミュレーションするとどうなる?

ここからが本題の入り口です。
シーズン終盤のある時点で、大谷翔平選手が
- 本塁打:54本(球団記録に並んでいる状態)
- 残り試合数:仮に6試合前後残っている
という状況にあったと仮定します。
このとき、「残り6試合のどこかで55本目が出るか?」を考えてみます。
先ほどのモデルのように、
- 1試合でホームランが出る確率:0.3(30%)
と仮定すると、
「残り6試合で1本もホームランが出ない確率」は、
- 0.7⁶ ≒ 約0.118(11.8%)
となります。
つまり、
- 残り6試合のどこかで少なくとも1本ホームランが出る確率
≒ 1 − 0.118 ≒ 約88%
です。
この数字が意味するのは、
「大谷クラスであれば、“どこかの試合で記録更新弾が出る”こと自体は、実はそこまでレアではない」
ということです。
もちろん、実際には対戦投手の質や球場、コンディションなどによって確率は上下しますが、
ざっくりモデルで見ても「記録更新弾が起こること」そのものは“ほぼ必然に近いイベント”になっていたと考えられます。
なぜその1本が“最終戦で”出たのか?ご褒美ガチャ的な確率とは?

では問題はここからです。
「なぜ、その55本目が“シーズン最終戦で”出たのか?」
というドラマ性の部分を、確率のイメージで考えてみます。
先ほどと同じく、
- 残り試合数:6試合
- そのうち“どこかで”記録更新弾が出る確率:およそ88%
とします。
「55本目がどの試合で出るか」という観点では、
単純化すると「6試合のうち、どこか1試合に割り当てられるご褒美イベント」と見なすことができます。
すべての試合に均等にチャンスがある、とざっくり仮定すると、
- 記録更新弾が最終戦に出る確率はおおよそ 1/6
≒ 約16.7%
です。
ここでうまく整理すると、こんな落としどころになります。
- 記録更新弾がどこかで出ること自体
→ 大谷レベルだと約88%という、かなり“必然に近い”イベント - そのうえで、「よりによって最終戦に来る」確率
→ ざっくり6分の1、約16.7%の“ご褒美ガチャ”
つまり、
「記録更新弾そのものは実力によってほぼ決まっていた。
しかし、それが“最終戦に配置されるかどうか”の部分だけは、ご褒美ガチャ的な運要素が残っていた」
と解釈することができます。
そして大谷翔平は、その“ご褒美ガチャ”をちゃんと引き当ててしまった。
このあたりに、ファンが感じる「持っている」「ストーリーを引き寄せる」という感覚が重なってくるのだと思います。
トッププレーNo.39はどれくらい“確率の外側の瞬間”なのか?
この最終戦での55号は、MLB公式の「Top Plays of 2025」でNo.39としても取り上げられています。
ここで少しロマンを足して、この場面を“確率の外側の瞬間”として眺めてみます。
条件をざっくり並べると、次のようになります。
- シーズン最終戦でのホームラン
- 自分が前年に作った球団記録(54本)を、自分で更新する55号
- すでに2年連続MVPクラスのパフォーマンスを続けている文脈
- チームとしても優勝争い・ポストシーズンを見据えたシーズンの締めくくり
- 敵地での試合、ベテランエースのラスト登板など、物語性の高い舞台設定
これらの要素を、すべて「確率」で正確にモデル化することはほぼ不可能です。
それでもイメージとしては、
「複数の低い確率の条件が、きれいに一点で交差してしまった瞬間」
と見ることができます。
シンプルに「ホームランを打つ確率」だけを見れば、
大谷翔平は「起きてもおかしくない選手」です。
しかし、
- そのホームランがシーズン55本目であり
- 球団記録を自分で更新する一撃であり
- しかもそれが“最終戦”という舞台に乗ってしまった
という複合条件まで含めると、
それはもはや「モデル化できないロマン」の領域と言っても良いと思います。
言い換えると、
「確率だけ見れば“ほぼ起こらないはず”のことを、 数字上“起きてもおかしくない選手”に変えてしまったのが、ここ3年の大谷翔平」
というまとめ方ができます。
なぜ大谷翔平は最終戦で55号を打てたのかまとめ
ここまで、「最終戦での55号」をざっくりした確率モデルで眺めてきました。
- 2025年の大谷翔平は、ざっくり「1打席あたり約8.5%でホームランを打つ」レベルの打者と見なせる
- 1試合あたり4打席と仮定すると、「その試合で少なくとも1本ホームランが出る確率」は約30%
→ 大谷クラスだと、3試合に1回は“ホームランデー”になる計算 - シーズン終盤、54本で球団記録に並んだ状態から、残り6試合でどこか1試合はホームランが出る確率は約88%
→ 記録更新弾そのものは「ほぼ必然」に近い - そのうえで、「記録更新弾が最終戦に出る」確率はざっくり6分の1、約16.7%
→ 実力でほぼ決まっていた出来事が、“たまたま最終戦に配置されたご褒美ガチャ”だった
最終戦の55号は、
「ありえない奇跡」かと言われれば、純粋な確率論では“ありえなくはない”出来事です。
しかし、その前提には、
- 1打席ごとの圧倒的なホームラン確率
- 2年連続で球団記録クラスの数字を積み上げ続けた安定感
という、普通の選手には到達できない土台があります。
だからこそ、
普通の選手にとっては“ほぼ起こらないはずの出来事”を、
大谷翔平は「起きてもおかしくない日常」に変えてしまっている。
そのうえで、
「最終戦で、記録更新弾で、しかもトッププレーに選ばれるような一撃」というロマンの部分だけが、
確率の外側でキラッと光っている——
そんなふうに捉えると、この55号の価値がより深く味わえるのではないかと思います。
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よくある質問(Q&A)
Q1:実際の打席数や出場試合数と、この記事の数字は違わないのですか?
A:この記事の計算は、あくまで「ざっくりモデル」としてのイメージです。実際の打席数や出場試合数は公式記録に基づく正確な数字がありますが、ここでは確率の感覚をつかむために簡略化した前提で計算しています。
Q2:1打席あたりのホームラン確率を“常に8.5%”とするのは現実的ですか?
A:現実には、相手投手のレベルや球場、コンディション、試合状況によってホームラン確率は変動します。この記事では、シーズントータルの結果から平均的な確率を逆算し、「だいたいこのくらいのバケモノ感覚」というイメージをつかむためのモデルとして扱っています。
Q3:他のトップスラッガーも同じように計算すると、どのくらいの確率になるのですか?
A:同じように本塁打数と打席数から計算すれば、1打席あたりのホームラン確率を求めることができます。とはいえ、大谷翔平のように「投手もこなしながら」「球団記録クラスの本塁打数を連続で叩き出す」選手は極めて稀であり、単純な確率比較だけでは測りきれない“物語性”があるのも事実です。
Q4:このような確率論の話は、どこまで“正しい”と考えてよいのでしょうか?
A:確率モデルはあくまで「現実をざっくり説明するための便利な道具」です。厳密な予測ではなく、「どのくらいヤバいことをやっているのか」を直感的に理解するための目安として楽しんでいただくのがよいと思います。
Q5:今後も同じような“確率の外側の瞬間”は期待してもよいのでしょうか?
A:スポーツにおいて「絶対」はありませんが、大谷翔平クラスの選手は、他の選手なら“奇跡”と呼ばれるプレーを、何度も引き寄せてきました。確率論的にはレアであっても、「またやってくれるかもしれない」と期待したくなるのが、大谷翔平という存在の特別さだと思います。

