「栗山監督が大谷翔平を動かした」という見方は分かりやすいです。
ですが本質は、誰かに動かされる形ではなく、大谷選手が自分で動ける形に整えるための“合意の仕組み”を作ったところにあります。
二刀流のように例外が多い挑戦ほど、短期の統制ではなく、長期で残る判断軸が必要です。その判断軸を作るのが「合意型マネジメント」です。
なぜ“禁止”より“合意”のほうが強いのか|外側のブレーキと内側のブレーキ

禁止は短期で効きやすいです。現場で迷いが減り、統一した動きが作れます。
しかし長期では弱くなりやすいです。理由はシンプルで、禁止は「外側のブレーキ」になりやすいからです。
- 禁止:監督やルールが目の前にある時だけ効きやすい
- 合意:本人の判断として残り、監督がいなくても効く
挑戦が大きいほど、想定外は起きます。二刀流はまさに例外の連続です。
例外のたびに禁止で押さえ込もうとすると、摩擦が増えます。本人の納得が追いつかず、現場の調整コストも上がります。
だからこそ「禁止で止める」より、「合意で整える」ほうが、結果として強い運用になります。
「ルールで縛らず、目的で握る」とは何か|行動より先に“何のため”を共有する
合意型マネジメントの核は、行動ではなく目的を先に共有することです。
- 何をするか(行動)を命令で固定するのではなく
- 何のためにするか(目的)を先に握る
たとえば「登板翌日は休め」という命令は、短期的には分かりやすいです。
一方で現場は、体調・移動・天候・試合展開などで毎日状況が変わります。固定ルールだけでは、想定外に弱くなります。
目的に合意していると、判断が“調整”になります。
「休むか、やるか」ではなく、「長期の再現性を守るために、今はどの選択が適切か」に変わるからです。
この切り替えが、強い自律を生みます。
大谷翔平の自律性が育つ「合意」の作り方|3つの設計ポイント

合意は「話し合って決めました」で終わりません。自律を育てる合意には、設計があります。ポイントは3つです。
1) 判断基準を“外”に置かない|許可ではなく、状態と目的で決める
自律が育たない典型は、「監督がOKと言ったらやる」です。
この形だと、判断の主体が外に残ります。本人の中に“基準”が育ちません。
合意で目指すのは、判断基準をこう置くことです。
- NG:監督の許可が出たら実行する
- OK:状態(コンディション)と目的(長期設計)に照らして実行する
本人が毎日、自分で照合できる軸があると、迷いが減ります。
そして「自分で整える」行動が自然に増えます。これが自律の土台になります。
2) “例外”を先に織り込む|固定ルールより、例外処理の方針が効く
二刀流は例外の連続です。
だからこそ「毎回同じルールで回す」よりも、「例外が起きた時の判断順」を合意しておくほうが強いです。
たとえば、先に握っておくべき観点はこうです。
- 体が重い日は何を最優先にするか
- 疲労サインが出たら、どの順番で調整するか
- 予定変更が起きた時、判断の基準は何か
例外処理が合意されていると、揉めません。
「その日に決める」のではなく、「その日の状態に合わせて、合意した順番で調整する」になるからです。
現場のスピードも上がり、心理的な消耗も減ります。
3) 合意は「やる」より「やらない」を守る|引く判断を“本人の意思”にする
自律性は「頑張る」ことで育つというより、「やらない判断を自分で守れる」ことで育ちます。
特に高い向上心を持つ選手ほど、“やりたい”が強いです。
- 出たい
- 投げたい
- 追加で練習したい
この欲を否定しないことが大切です。
否定すると、本人の推進力そのものが濁ります。
その代わり、目的に照らして“引く判断”を本人の意思にしていきます。
「止められたからやらない」ではなく、「長期の再現性を守るために、今日は引く」と判断できる形です。
この形ができると、努力は暴走しません。むしろ安定して積み上がります。
合意型マネジメントが機能すると何が起きるのか|現場の“摩擦”が“調整”に変わる
合意型が強いのは、現場の会話が変わるからです。
- ルール違反かどうかを裁く会話ではなく
- 目的に合っているかを確認する会話になる
この変化は大きいです。
人は裁かれると守りに入りますが、目的を確認されると前向きに整えやすくなります。
結果として、本人の主体性が上がり、周囲の支援も“指示”ではなく“調整”になります。
二刀流のように難易度の高い運用ほど、合意があることで挑戦が続きやすくなります。
「やる・やらない」の対立ではなく、「長期の最適化」に会話が揃うからです。
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大谷翔平栗山監督合意型マネジメントまとめ
栗山監督と大谷翔平の関係を「動かした・動かされた」で捉えるよりも、「自分で動ける形を作った」と捉えるほうが、学びは深くなります。
禁止は短期で効きますが、監督がいないと弱くなりやすい外側のブレーキになりがちです。
合意は本人の中に残る内側のブレーキになり、長期で強く機能します。
合意型マネジメントの要点は、行動を縛るのではなく目的で握ることです。判断基準を外に置かず、例外を先に織り込み、「やらない」を本人の意思で守れる形にする。
この設計があると、現場の摩擦は減り、調整の質が上がります。自律が育つ環境は、選手の才能を縛るのではなく、長期で伸ばすために整える環境です。

