NPBとMLB(特にロサンゼルス・ドジャース)では、補強の「目的」そのものが違います。
NPBは欠けたピースを元に戻しやすい設計、ドジャースはシーズン中の変動を吸収しながら上振れまで拾いにいく設計です。
この違いを理解すると、「補強しているのに使われない選手が出るのは失敗なのか?」という疑問も、見え方が変わってきます。
NPBの補強はなぜ「穴埋め」になりやすいのですか?

NPBの補強が穴埋め型になりやすいのは、チームの正解形が「固定」されやすいからです。
「正解形」が先に決まる設計になっていませんか?
多くのチームでは、理想の完成形が
- レギュラー9人
- 固定ローテ
- 勝ちパ(終盤の継投)
として定義されやすいです。
そのため、ケガ・不振・流出で欠けた箇所が出ると、補強の目的は「正解形への復元」になります。
控えが“代役”になりやすいのはなぜですか?
穴埋め設計では、控えは「レギュラーの下位互換」という役割になりやすいです。
すると、開幕後は序列が固まり、競争は春までで止まりやすくなります。
結果として、補強は「マイナスをゼロに戻す作業」になりやすいです。
ドジャースの補強はなぜ「余剰戦力」を集めるのですか?
ドジャースの補強は、欠けた場所を埋めるというより「変動を前提に厚みを作る」発想です。
162試合で起きる“不可避の変数”を前提にしていませんか?
長いシーズンでは、
- ケガ
- 不振
- 成績の波
が必ず発生します。
ドジャースはそれを例外ではなく、最初から織り込む設計にしています。
だからこそ、同じポジションにレギュラー級を複数置き、役割を固定せず状態に応じて入れ替える運用が成立します。
「控え=下位互換」ではない運用がなぜ可能ですか?
厚みを前提にすると、控えの価値は「出番の量」ではなく「出番の質」になります。
出番が来た瞬間に、平均以上を出せる確率が高いことが重要です。
この発想が、余剰戦力を“ムダ”ではなく“戦略資産”に変えています。
「余剰戦力」はなぜ無駄ではなく武器になるのですか?
一見すると、使われない戦力はコストに見えます。
しかしドジャース的には、余剰戦力は2つの価値を同時に持ちます。
余剰戦力は「保険」としてどう機能しますか?
誰かが落ちたときに、チームの構造が崩れないこと。
これが保険としての価値です。
固定制は1人の崩れが連鎖しやすいですが、厚み構造は落ちても全体が崩れにくいです。
余剰戦力は「宝くじ」としてどう機能しますか?
もう一つは、想定外の上振れを拾う装置になることです。
補強の成功は「去年と同じ形に戻る」ではなく、
誰かが想定以上に伸びて“勝ち筋が増える”状態を作れたか、に置かれます。
この設計では、当たりが出た瞬間にチームの天井が上がります。
競争はなぜ「不安」ではなく「安定」を生むのですか?
レギュラー固定は安心に見えますが、長期では脆さも抱えます。
一方、競争と厚みは一見不安定に見えて、全体の再現性を上げます。
固定制はなぜ崩れたときに戻りにくいのですか?
固定制は、前提が「この人がやる」になりやすいです。
その1人が落ちると、役割・打順・守備位置・継投計画まで連鎖して歪みやすくなります。
厚み構造はなぜ“チームとしての再現性”が上がるのですか?
厚み構造は、個人の安定より「チームの出力を一定に保つ」ことを優先します。
誰かが落ちても、別の選手が埋めるだけでなく、状態が良い選手へ滑らかに切り替えられます。
その結果、個の波をチームが吸収し、勝ちパターンの総量が増えていきます。
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ドジャースとNPB補強思想の違いまとめ
NPBの補強は「去年の正解形を守る」発想になりやすく、欠けた場所を元に戻す穴埋め型が機能しやすいです。
一方、ドジャースの補強は「未来のブレを吸収する装置」を作る発想で、余剰戦力を“保険+宝くじ”として扱います。
そのためドジャースでは、「補強しているのに使われない選手」が出ても設計としては成功になり得ます。
個人の固定ではなく、チームの再現性を最大化する。ここに補強思想の根本的な違いがあります。

