大谷翔平はなぜカーブを多用したのか?
去る2025年8月27日、ロサンゼルス・ドジャースで投手として今季11度目の先発登板を果たした大谷翔平選手は、5回87球、被安打2、1失点、9奪三振という見事な内容で、749日ぶりの勝利を挙げました。
その中で注目されたのが、カーブの多用です。
全87球中23球(約26%)ものカーブを投げ込み、直球との球速差も生かしてレッズ打線を翻弄しました。
実はそれまでの10登板におけるカーブ使用数はわずか11球にとどまっており、この登板での急増ぶりは投球スタイルの変化を感じさせるものです。
カーブ多投の背景には何があるのか?

米国の野球専門YouTubeチャンネル『Foul Territory』のホストで元MLB捕手のAJ・ピアジンスキー氏は、大谷選手の投球幅の広がりと身体への負担配慮を指摘しています。以下がその視点です:
- 投球による身体への負荷には個人差があり、大谷選手も負担軽減を考慮している可能性がある。
- たとえば全力の速球が肘にダメージを与える選手もいれば、変化球を多投することで肘を痛める選手もいる。
- 伝統的にはスプリットやフォークは手の出し方の観点で肘に悪いとされているが、科学的な裏付けは十分とは言えない。
- その上で、「投球の幅を広げたい」「感覚的に今、変化球を使いたい」という思いが作用しているのではないかと分析されています。
また、23年9月に右肘靱帯を損傷し、2度手術を経験した大谷選手にとって、感覚の良い球種を増やしながら肘への負担を分散する狙いもあると考えられます。
投球スタイルの進化は他にも?
さらに、2025年の大谷選手はフォームや投球動作にも変化が見られています:
- MLB復帰後、従来とは異なるワインドアップ(フルワインドアップ)を採用し、速球の球速上昇に寄与している可能性があると指摘されています。
- 速球(フォーシーム)の使用率も上昇し、2023年に比べフォーシーム使用比率は約3分の1から約45%へと大きく増加しています。
- これにより、より力強く、かつ抑揚のある投球が実現されています。
大谷翔平レッズ戦カーブ多投理由まとめ
今回のレッズ戦におけるカーブ多投は、大谷翔平選手が投手として“グレードアップ”している兆しです。
フォームの再構築や球種の多様化、そして身体への負担コントロールといった複合的なアプローチから、新たな境地へ向かうプロ姿勢が伺えます。
今後もその進化の行く末から、目が離せません。
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よくある質問(Q&A)
Q1. なぜ今になってカーブを多投したのですか?
A1. 身体への負担を分散しつつ、投球の幅を広げたいという狙いが背景にあります。特に右肘靱帯の2度目の手術後には、感覚の良い球種をふやすことが重要だったのではないかと分析されています。
Q2. フォーシームの使用率はどう変わりましたか?
A2. 復帰後はワインドアップが見直され、フォーシーム使用が約45%と大幅に増加しています。これは2023年の約3分の1から大きく進化した点です。
Q3. カーブ増加は長期的にも続く傾向ですか?
A3. 今回の登板での傾向を踏まえると、カーブを含めた球種の多様化と身体への負担軽減が今後のスタイルに組み込まれる可能性が高いと見られます。
Q4. スプリットやスイーパーの使用はどうなりますか?
A4. 現在もスイーパーやスプリットは主力として使われていますが、今回のカーブ多投はそれらと共存させる形で投球スタイルの幅を広げようという意図とみられます。
Q5. 今後どのように進化していくでしょうか?
A5. フォーシームを軸としながら、フォーム改良や球種多様化を進め、肘の負担に配慮した完成度の高い投球を構築していくと期待されます。