なぜ 山本由伸 は中1日・連投起用に応えられたのか?
2025年の ロサンゼルス・ドジャース による2年連続世界一の原動力となった山本由伸投手。
シリーズ中、驚異的な投球数と連投体制に耐え抜いた背景には、彼自身の“覚悟”とともに、長年支えてきた個人トレーナー 矢田修 氏の存在があります。
矢田氏は
「最後は本人が決めること」
と語りながらも、
「明日、ブルペンで投げられるぐらいの調整をする?」
と問いかけるなど、シリーズ継続起用に向けた裏方働きを担っていました。
例えば第6戦終了後、山本が
「(球場への)出発前に治療をお願いします」
と連絡を寄せ、午前2時過ぎまで宿舎で治療が行われました。
表情に不安の色はなく、矢田氏も
「昨日より、素直ないい球を投げている」
と感じたことで、チームの登板許可が出たといいます。
こうした“緻密な調整+当事者としての決意”が、連投体制を可能にしました。
どのようにしてトレーニング方針が刷新されたのか?

山本と矢田氏の“師弟関係”が本格化したのは2017年、プロ1年目時点のオリックス時代に遡ります。
矢田氏は、当時細身だった山本に
「投球フォームもトレーニングも全て変えないと無理やわ」
と厳しい言葉を投げかけ、フルモデルチェンジを提案しました。
その中で重視されたのが
「力まず、効率よく全身の力を球に伝えること」。
矢田氏曰く
「彼は人間が持つ約600の筋肉を10%ずつ使おうとしている。そのためには、とんでもない集中力と感じ取る能力が必要」
でした。
やり投げやブリッジ、倒立などを用いた独自トレーニングをこなし、ウェートトレーニングをしなくとも体は年々大きくなり、肘・肩の疲労も長引かなくなりました。
プロ1年目からのこうした蓄積が、メジャー移籍後の高負荷に耐える肉体作りを支えていたのです。
連投の舞台裏 ― 歴史的な「中1日登板」も実現

ワールドシリーズでは、まず第2戦で9回1失点-8奪三振という完投勝利をマークしました。
これだけでも驚異的でしたが、続く第3戦では延長18回にブルペン入りという異例の起用が示されました。
これは第2戦から中1日での起用を示唆するもので、
「もうピッチャーがいなかったので、行くしかないと思いました」
という本人の証言ともに話題となりました。
また第6戦では6回96球1失点という快投を披露し、シリーズ3勝目を挙げると、最終第7戦でもリリーフとしてマウンドに上がり、11回裏の遊ゴロ併殺で胴上げ投手となりました。
単一WSでの3勝は、2001年の ランディ・ジョンソン 以来の快挙であり、さらに史上初となる「敵地3勝」も記録しました。
こうした記録を支えたのが、矢田氏の
「投げるための身体に仕上げる」
という長年の哲学だったといえます。
覚悟が生んだ「常識を変える」実践
矢田氏が語るように、最後の判断は
「本人が決めること」。
しかしそのためのベースとして、
「明日投げられる/中1日で対応可能な肉体・調整」
があったことは否定できません。
山本自身も
「できることは全部できましたし、このチームで優勝できて本当にうれしく思います」
と振り返っています。
加えて
「人のことを褒めないけど、あの瞬間は鬼の目に涙でした」
という矢田氏の言葉からは、師弟の絆とともに
「勝つために徹底した準備をしてきた」
というストーリーが浮かびます。
実際、米メディアからも賛辞が寄せられ、
「3億2500万ドルの理由だ」
という見出しも出るほど。
このように、既成概念に挑み連投・高負荷を物ともせず世界一へ導いた山本由伸。
彼の“覚悟”と、それを可能にした調整・肉体作りの背景があってこその勝利でした。
連投で世界一を導いた山本由伸の舞台裏まとめ
- 山本由伸は2025年のワールドシリーズで驚異的な連投・完投を実現し、シリーズMVPに輝いた。
- その裏には、長年パーソナルトレーナーとして参画してきた矢田修氏による「モデルチェンジ」「効率的な身体操作」「継続力」のトレーニング哲学があった。
- 第2戦完投→第3戦ブルペン入り→第6戦先発→第7戦リリーフという常識破りの起用を可能にしたのは、本人の覚悟と調整・準備力の成果である。
- 指導側が「最後は本人が決める」としながら、実は“投げるための身体”を作り上げていたことが、結果的に「野球界の常識を変える」覚醒の一端だった。
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Q&A
Q1 :どうして山本由伸は“中1日”でブルペン入りできたのですか?
A1 :第2戦で9回105球を投げた直後に、延長18回の第3戦に備えてブルペン入り。トレーナー・矢田氏の「明日投げられるぐらいの調整をする?」という声かけと、宿舎で深夜に治療を行ったことで、身体の張りを最小限に抑えて対応可能になったと言われています。
Q2 :トレーニングで特に重視されたポイントは何でしょうか?
A2 :矢田氏は「600近い筋肉を10%ずつ使おうとしている」と述べ、力を抜いて効率よく身体全体を使う方法を追求しました。ブリッジ、倒立、ジャベリックスローなどを取り入れ、フォームもトレーニングも刷新する“フルモデルチェンジ”がキーポイントでした。
Q3 :このような異例起用を球団が許容した背景は?
A3 :球団側も「先発6回96球→中1日で登板」という常識外のプランには躊躇がありましたが、本人の調子・準備状況・トレーナーの調整力などを見て“ベストオプション”と判断しました。結果的に彼の覚悟と準備がそれを裏付けました。
Q4 :この成功から得られる教訓とは?
A4 :準備と覚悟の両輪が揃えば、既存の“常識”を超える成果も可能であるということです。身体作り・調整・心理的決意を一体化させることで、トップパフォーマンスを最大限引き出せる好例と言えるでしょう。
Q5 :今後の山本由伸にはどんな期待がありますか?
A5 :今回の連投・世界一を経て、彼は“エースとしての覚醒”を果たしました。今後はこの高水準を維持しながら、前例の少ない“完全体”として更なる進化が期待されます。

