ドジャース大谷翔平選手は、ホームラン数や打球速度だけで語られることが多いですが、実は「スイング軌道の使い分け」が異常なレベルに達している打者です。
- ホームラン狙いのややアッパー軌道
- 打点狙いのセンター返しレベル軌道
- 逆方向狙いの“上体を残す”軌道
この3種類を、カウント・配球・ランナー状況によって使い分けられる打者は、MLB全体を見てもごく一部しか存在しません。
しかも大谷選手は、この3つすべてでトップクラスの打球速度と長打率を維持しているのが特徴です。
- 3種類のスイング軌道がどのように使い分けられているのか
- それぞれの軌道がどんな打球結果を生みやすいのか
- なぜ大谷翔平だけが“状況別スイング”を高次元で成立させられるのか
を、分かりやすく解説していきます。
大谷翔平は本当に“3種類のスイング軌道”を使い分けているのか?

大谷翔平選手の打席をシーズンを通して見ていると、「いつも同じフルスイング」に見えて、実は目的に応じてスイング軌道が明確に変化しています。
- カウント有利で真ん中〜内寄りをフルスイング → ややアッパー気味の“ホームラン軌道”
- ランナー二・三塁で確実に点を取りたい場面 → センター返しの“打点軌道”
- 外寄りボールを逆方向へ運びたい場面 → 上体を残してバットを遅れて出す“逆方向軌道”
この3パターンは、単なる「狙いの違い」ではなく、軌道・体重移動・上半身の残し方がしっかり変わっているのがポイントです。
一般的な打者との違いはどこにある?
多くの打者は、
- 「フルスイング時の軌道」と「コンタクト重視の軌道」の2種類が限界
- もしくは、意識を変えているつもりでも、実際のスイング軌道はほとんど変わっていない
というケースがほとんどです。
一方、大谷選手は打球角度・バレル率・コンタクト率のバランスを崩さずに、3種類の軌道を高い水準で維持しているため、「状況対応力が異常な打者」として評価されているのです。
ホームラン狙いの「ややアッパー軌道」とは?どんなときに使われるのか?
なぜホームラン狙いで“ややアッパー”になるのか?
大谷翔平選手がフルスイングでホームランを狙うとき、スイングはわずかにアッパー気味になります。
ここで重要なのは、「極端なアッパースイング」ではなく、“やや”アッパーという点です。
- ボールの軌道に対してわずかに上から入って、インパクト付近で少しだけ角度をつける
- いわゆる“逆U字”ではなく、直線的なスイングの中でインパクトゾーンを長く保ちつつ、最適な打球角度(ライナー〜高弾道)に乗せるイメージ
- 強いフライ(バレル)を量産するための、再現性の高いアッパー軌道
この軌道のおかげで、大谷選手は「ゴロになりにくく、高弾道のライナー〜フライが多い」という特徴を持っています。
どんなカウント・状況で“ホームラン軌道”が出るのか?
ホームラン狙いのややアッパー軌道は、主に次のような場面で顕著になります。
- カウント 2-0 / 3-1 などの“打者有利カウント”
- 真ん中〜少し内寄りに来そうなカウントでストレート待ち
- ホームゲーム終盤での同点・逆転を狙う場面
- 1ボールノーストライクからの甘いストレート・スライダー
ここでは、「とにかく強いフライを打ちたい」という目的が明確なため、打球角度と飛距離を最大化するアッパー軌道が選択されていると考えられます。
打点狙いの「センター返しレベル軌道」とは?なぜ“チームバッティング”でも異常に強いのか?

センター返しのとき、大谷のスイングはどう変わる?
ランナーを還す場面や確実に点を取りたいシチュエーションでは、大谷選手はレベルスイング寄りの“センター返し軌道”を選択します。
- バット軌道が地面とほぼ平行に近い“レベル軌道”
- フロント側の肩の開きが抑えられ、センター〜左中間へ強い打球を打ち返す形
- 引っ張りすぎず、逆方向に逃がしすぎない“中庸の軌道”
この軌道の特徴は、“最低限の仕事”と“最大限の打球速度”を両立できることです。
なぜ「打点狙い」でも打球が弱くならないのか?
普通、チームバッティングを意識すると、
- スイングが守りに入る
- 打球速度が落ちる
- ただのセカンドゴロ・ショートゴロで終わる
というケースが多くなります。
しかし大谷選手は、
- スイングの強度(スイングスピード・ヘッドスピード)を落とさず
- 軌道だけを“レベル寄り”に微調整する
ことで、「打点狙いでもエキストラベースが出る」という、普通の打者にはないゾーンを実現しています。
- ランナー二塁:センター前の強いライナー
- ランナー三塁:外野フライ以上を高確率で打てる打球角度
- 満塁:センター〜右中間への長打で一気に試合を決める
こういった打球が多いのは、レベル軌道で“確率と期待値”を両立しているからです。
逆方向狙いの「上体を残す軌道」とは?なぜ外角ボールを簡単にスタンドまで運べるのか?
上体を残す“逆方向軌道”のポイントは?
外角ボールを逆方向へ長打にする場面では、大谷選手は上体を極端に残すスイングを選びます。
- 前足の着地タイミングをギリギリまで遅らせる
- 骨盤(腰)はしっかり回すが、上半身の開きを抑える
- バットを遅れて出し、インパクトポイントをキャッチャー寄り(やや後ろ)に設定
これにより、外角ボールを無理に引っ張らず、右中間〜ライト方向へ“乗せる”ように打つことができます。
なぜ逆方向でも飛距離が落ちないのか?
多くの打者は、
- 逆方向への打球 → 単打狙いの“合わせ打ち”
- 外角への対応 → コンパクトスイングで“当てにいく”
という形になりがちです。その結果、逆方向の打球はどうしても飛距離が出にくくなります。
一方、大谷選手は、
- 下半身の回転エネルギーをしっかり使う
- 上体を残しながらもスイングスピードを落とさない
- 「合わせる」ではなく「乗せる」逆方向スイング
を徹底しているため、逆方向にも簡単にスタンドインさせる異常なパワー×技術を実現しているのです。
なぜ大谷翔平だけが“3種類のスイング軌道”を高次元で使い分けられるのか?
① 下半身主導のスイングだから、軌道変更してもブレない
大谷選手のスイングは、あくまで下半身主導です。
- 股関節のタメ
- 地面反力を使った回転
- 軸足の安定したバランス
これらがあるおかげで、上半身の軌道を変えてもスイング全体の再現性が崩れない構造になっています。
② 手先ではなく“体全体”で軌道を変えている
多くの選手は、状況に応じた打ち分けを「手先の調整」でやろうとしますが、それだとミスヒットや差し込まれる確率が一気に上がります。
大谷選手の場合は、
- 体重移動の幅
- 骨盤の回転タイミング
- 上半身の残し方
といった身体全体の使い方からスイング軌道を組み替えているため、多少の球威・球速・コースの誤差があっても打球質が大きく崩れにくいのです。
③ データと感覚の両方で“最適解”を更新し続けている
大谷選手は、打球角度・打球速度・バレル率・ゴロ率などのデータを踏まえながら、自分のスイングを毎年アップデートしていると言われています。
- 「この軌道だとゴロが増える」
- 「このときはもう少しアッパーにした方が長打効率が上がる」
といった検証を繰り返し、3種類のスイングそれぞれの“期待値”を最大化する調整を続けているからこそ、シーズンを通じて安定して結果を残せていると考えられます。
大谷翔平スイング3種類使い分まとめ
大谷翔平選手のスイングは、一見すると「いつも同じフォームでフルスイングしている」ように見えますが、実際には目的に応じて3種類のスイング軌道を使い分けています。
- ホームラン狙い:ややアッパー軌道で“高弾道バレル”を量産
- 打点狙い:センター返しレベル軌道で“確率と長打”を両立
- 逆方向狙い:上体を残す軌道で“外角もスタンドまで運ぶ”
この3種類を、
- カウント
- 配球傾向
- ランナー状況
- 試合展開
に応じて自然に切り替えられる打者は、MLB全体で見ても本当にわずかです。
大谷翔平選手が“異常な打者”と言われるのは、単にパワーが桁違いだからではなく、
「状況別のスイング軌道」×「下半身主導の再現性」×「データによる最適化」
という3つが同時に成立しているからだといえます。
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よくある質問 / Q&A
Q1. 大谷翔平のスイング軌道は一番多いのはどのタイプですか?
試合全体で見ると、センター返しのレベル軌道がベースになっていると考えられます。
そこからカウント有利になったときにややアッパー軌道で飛距離を最大化し、不利カウントや外角中心の配球には上体を残す逆方向軌道で対応しているパターンが多いです。
Q2. アマチュア選手も大谷の“3種類のスイング”を真似すべきですか?
すべてを真似するのは難しいですが、
- 「ホームラン狙い」「打点狙い」「逆方向狙い」で意識を変える
- レベル軌道をベースに、少しだけアッパー・少しだけ逆方向寄りに調整する
といった形で、“簡易版3パターン”として取り入れることはおすすめです。
特に「センター返しをベースにする」意識は、多くの選手にとってプラスになります。
Q3. 大谷翔平はフォームを毎年変えていると言われますが、スイング軌道も変わっていますか?
はい、細かいレベルでの軌道調整は毎年行われていると考えられます。
ゴロ率・フライ率・ライナー率などの変化を見ると、「どの軌道をどれくらいの割合で使うか」が少しずつ最適化されており、結果として長打効率や出塁率が向上している傾向があります。
Q4. なぜ大谷は逆方向にもホームランを量産できるのですか?
最大の理由は、上体を残したまま下半身の力をしっかり使えていることです。
多くの打者は逆方向に打つときに手打ちになりがちですが、大谷選手は骨盤の回転エネルギーを保ったままインパクトを迎えるため、逆方向でも打球速度が落ちにくく、そのままスタンドまで届く打球を打てていると考えられます。
Q5. ファンは試合中、どこを見れば“大谷のスイング軌道の違い”を楽しめますか?
特に注目すると面白いポイントは、
- カウント有利時と不利時での“打球方向と角度”
- ランナー二・三塁のときの“センター返しの意識”
- 外角ボールに対して“どれだけ上体を残しているか”
です。同じフォームに見えても、目的に応じて軌道が変わっていることに気づくと、
大谷翔平選手の打席を、これまで以上に深く楽しめるようになります。

