大谷翔平選手について語るとき、「MLB歴代HRペース」という指標はとても重要です。
しかし、彼の場合はそのHRペースだけを見ても、本当の凄さは語りきれません。なぜなら大谷翔平は、
「HRを打ちながら、自分でそのHRを帳消しにするレベルの投球ができる」
という、MLBの長い歴史の中でもほぼ唯一無二の存在だからです。
この記事では、MLB歴代の本塁打バッターたちと比較しながら、
なぜ大谷翔平だけが「歴代比較が成立しにくい」特別な選手なのかを、
二刀流・成績・役割・インパクトの面からポジティブに掘り下げていきます。
大谷翔平はHRバッターなのか?エースピッチャーなのか?

まず整理しておきたいのは、「大谷翔平は何者なのか?」という根本的な問いです。
- 年間40〜50本塁打を期待されるフルスケールの主砲
- チームのローテーションを引っ張るエースクラスの先発投手
多くの選手はどちらか一方だけでも凄いのに、大谷翔平は両方を同時にこなしているのが特徴です。
しかも、「どちらも中途半端な二刀流」ではなく、
- 打者としてはMVP級
- 投手としてはサイ・ヤング賞級
という、“二人分のスター選手”が一人に凝縮されたような存在です。
この時点で、通常の「HRペース比較」という枠組みからは、すでに大きくはみ出していると言えます。
HRを打ちながら、自分でそのHRを帳消しにするとはどういう意味か?
投手としての失点を、打者としての得点で上回る存在?
野球は「点を取り合うゲーム」です。
普通は、
- 打者は点を“取る側”
- 投手は点を“防ぐ側”
に役割が分かれます。しかし、大谷翔平の場合は両方を担当しています。
つまり、
- 投手として失点を最小限に抑え
- 打者としてホームランや長打で得点源になり
- 結果的に「自分が浴びた失点以上の点数を、自分のバット一本で取り返してしまう」
という現象が、一人の選手の中で完結しているのです。
HRを“帳消し”にしてしまうレベルの投球とは?
ここでの「帳消し」というイメージは、
- もし大谷が打者だけなら「+何点」の価値
- もし大谷が投手だけなら「−何点」を防いでいる価値
これを同じ選手が同一シーズンに両方やっているため、
打撃面でのプラスを、投手面でさらに上積みしてしまうという意味合いがあります。
他のスラッガーが
「HRを量産してチームに貢献する」のに対して、
大谷翔平は
- HRを打つ
- その試合でマウンドにも立つ
- 自分の打点+投球で、試合の勝敗を一人で決定づける
という、“ゲームを支配する範囲”が圧倒的に広い選手なのです。
なぜMLB歴代HRペース比較が、大谷翔平には当てはまりにくいのか?
通算HRやHRペースだけでは測れない「二刀流の総合影響力」
バリー・ボンズ、アーロン・ジャッジ、マーク・マグワイアなど、
歴代の本塁打マシンたちは、いずれも「打撃に全振り」した超一流のスラッガーです。
一方、大谷翔平は、
- 打席数は“打者専念組”より少なくなりやすい
- 投手としての準備と回復があるため、打撃に使える時間は限られる
というハンデを抱えながらも、
シーズン40〜50本塁打ペースでHRを量産しています。
この時点でHRペースは既に異常値ですが、
そこに「投手としての価値」まで積み上げると、もはや他の打者とは同じ土俵で比べること自体が難しくなります。
WARやWPAでも異次元になりやすい理由
現代野球では、選手の価値を測る指標として
- WAR(勝利貢献度)
- WPA(勝利確率への影響)
などがよく使われますが、大谷翔平は打者としてのWAR+投手としてのWARが合算される唯一の現役選手です。
打者としての価値だけでもオールスター級、
投手としての価値だけでも一流先発級、
これが一人の選手に集約されるため、
- シーズン単年のWARが歴代トップクラス
- チーム全体に与える「勝利」への影響範囲が異常に大きい
という、“HRペース以上のインパクト”を生み出す構造になっています。
そのため、単純な「HRペース比較」だけで彼を評価しようとすると、
必ず“本質を見落としてしまう”危険があると言えます。
投手としても打者としても一流だから生まれる“相乗効果”とは?
相手バッテリーから見たときのプレッシャーが違う?
大谷翔平は、打者としても投手としても一流であるがゆえに、
- 投手としての経験や配球理解が、打者としての読みや待ち球に活きる
- 打者としての打席感覚や弱点理解が、投球時の組み立てに活きる
という“知識と経験の循環”が起きています。
その結果、
- 打席では投手目線でボールを見極め
- マウンドでは打者目線で相手の嫌がる球を投げる
という、普通の選手には到達しにくいゾーンに到達しています。
チームに与える心理的/戦術的インパクト
また、大谷翔平がいることで、
- チームメイトは「今日は翔平の日だから勝てる」という安心感
- 監督は「翔平を軸にローテと打線を組める」という戦術的自由度
を得ることができます。
これは、数字に表れにくい部分ではありますが、
シーズンを通した“チーム力の底上げ”につながる重要な要素です。
HRを打つだけのスラッガーではなく、
試合の「入り方」「流れ」「勝ちパターン」まで変えてしまう存在こそが、
今の大谷翔平だと言えます。
大谷翔平ホームランを自分で帳消しにする二刀流まとめ
- 大谷翔平は、MLB歴代の本塁打ペースと比較してもトップクラスの数字を残しているだけでなく、
自らマウンドに立って失点を防ぐことで、「自分のHRを自分で帳消しにできるレベルの投球」をしている特別な選手です。 - 通算HRやHRペースだけで比較すると、バリー・ボンズやアーロン・ジャッジといった歴代級スラッガーと同列に語られますが、
投手としての価値まで含めると、既存の「歴代HRバッター比較」の枠組みが通用しにくい存在になります。 - 打者としても投手としても一流であることで、相手バッテリーへのプレッシャー、チームへの安心感、戦術の幅など、
数字以上のインパクトを生み出しているのが大谷翔平です。 - その意味で、「MLB歴代HRペースの中で唯一無二のことをしている選手」として、
これからも野球の常識を更新し続ける可能性を大いに秘めていると言えます。
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よくある質問/Q&A
Q1. なぜ大谷翔平は「HRペース比較」だけでは評価しにくいのですか?
A. 大谷翔平は、HRペースそのものが歴代級であるにもかかわらず、投手としてもチームに大きな貢献をしているからです。
一般的なスラッガーは攻撃面だけで評価されますが、大谷は「攻撃+守備(投球)」を同時に担っているため、
単純なHRペース比較だけでは彼の価値を正確に表現しきれません。
Q2. 「HRを帳消しにするレベルの投球」とは具体的にどういうことですか?
A. イメージとしては、
- 打者として2〜3点分の活躍をしながら
- 投手としても相手打線をゼロ、あるいは最小限の失点に抑える
ような試合を、自らの力で作ってしまうことです。
つまり、自分が打って稼いだ得点以上の失点を、自分の投球で防いでしまうレベルの影響力を持っている、という意味です。
Q3. それでもHRペースだけで歴代スラッガーと比較することに意味はありますか?
A. もちろん意味はあります。
HRペースの比較は、「打者としてどれだけ歴代級の破壊力を持っているか」を示す指標になります。
ただし大谷の場合は、そこに投手としての価値が上乗せされるため、最終的な評価は“二刀流トータル”で見る必要があるという点が重要です。
Q4. 今後、大谷翔平のような選手が増えれば、比較の基準も変わりますか?
A. 将来的に“大谷2世”のような本格的二刀流が複数現れれば、
- 「二刀流選手同士の比較」
- 「投打合算のトータル指標」
など、新しい評価軸がスタンダードになる可能性があります。
しかし現時点では、大谷翔平はほぼ唯一の存在であり、
だからこそ歴代比較が成立しにくい、特別な選手だと考えられます。

