なぜ「才能を開花させる」フェーズから「才能を守る」フェーズへ?
大谷翔平選手は、打者・投手として史上稀に見る二刀流の才能を開花させてきましたが、現在は“守る”ための戦略に舵を切っています。
打者としては3年連続でリーグ最優秀打者賞(ハンク・アーロン賞)を獲得、圧倒的な打撃力を維持しており、投手としても復帰段階ながら奪三振率などで示唆に富む成績を残しています。
故障リスクを抱えつつ、稼働量よりも健康維持を優先する姿勢が見え始めたのです。
例えば、2025年のシーズン開幕時点で先発としての登板本数を定めず、
「(中5日で)先発フル回転を目指すかどうかは僕ではなく編成・監督・投手コーチが考えること」
と発言しています。
これは
「無理して先発を回すことよりも、1年間健康に過ごしながらポストシーズンを迎える」
ことを重視している証とも言えます。
「先発ローテーションをフル回転させない」判断の背景とは?
最大の背景は、右肘靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)などの過去の故障歴です。
日本ハム時代から手術は「必ずするだろう」と覚悟していた大谷選手は、2018年に手術を受け、そしてメジャー移籍後も複数の故障リスクと向き合ってきました。
2025年シーズン、Los Angeles Dodgersは
「何イニング投げるか、何試合登板するか」
ではなく
「10月終盤まで二刀流で活躍できる体を維持できるか」
に重きを置いたロードマップを描いています。
実際に2025年3月時点で、監督のデーブ・ロバーツ氏は
「彼は普通の先発投手ではない。何回6イニング60〜90球投げるかという線引きも定めていない」
と慎重な姿勢を示しました。
また、投手復帰に向けた調整過程も丁寧で、春先の投手調整を遅らせ、シーズン終盤のポストシーズンにピークを持ってくるプランである事が明らかになっています。
打者としての“到達点”と投手としての“再構築期”

打者としては、すでに最高峰の領域に到達しています。
2023年以降、飛躍的な打撃技術を示し続け、もはや
「何かが劇的に変わる」
段階ではなく、
「この状態をどれだけ長く維持できるか」
が焦点です。
一方で投手としては、復帰初段階にあり、2025年時点では登板数・投球回数ともに抑制的な運用となっています。
例えば、登板6試合、46球という登板もあり、まだ通常のローテーションを回すには至っていません。
体力・肩肘への負荷・シーズン中の打者としての負担を勘案すると、
「とにかく量をこなす」
段階ではなく
「長期継続可能な体制を築く」
段階だと言えます。
今後のキーとなる選択:WBCやポストシーズンへの備え
来春開催予定の ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、長期移動・過密日程という点で故障リスクを高めるイベントです。
従って、大谷選手の参加スタイルにも
「打者専任(DH専任)」
という可能性が浮上しています。
ポストシーズンをきっちり戦うためには、WBCでリスクを最小化する選択も十分にあり得ると見られています。
これは、
「才能を守る」
ための戦略的な決断と捉えられます。
また、大谷選手自身も
「怪我なく1年間健康にローテーションを回ることが目標」
と語っており、契約年数分のワールドシリーズ3連覇・10年連続出場など長期的な視点でキャリア設計をしています。
大谷翔平才能を守るキャリア戦略まとめ
大谷翔平選手は、才能を開花させるフェーズを経て、現在は“その才能を守る”段階へと移行しています。
打者としてはすでに頂点に近づいており、今後はその状態を長く維持することがテーマです。
投手としては、量よりも質・継続性を重視した慎重な運用がなされており、今後も「ポストシーズンで健康に回る」「WBCでリスクを抑える」など戦略的な展開が予想されます。
このように、「いつまでフル回転で先発登板するか」ではなく、「いかにして最高の状態を長く保つか」という観点が、今シーズン以降の大谷選手のキャリアにおけるキーワードになるでしょう。
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よくある質問/Q&A
Q1 なぜ先発ローテーションを中5日フル回転で回さないのか?
A1 大谷選手は過去に右肘の靱帯再建手術を受けており、故障のリスクが常にあります。打者としても超一流の価値を持っているため、チームとしては「先発で何試合登板するか」よりも「1シーズンを通して投打で貢献できる健康な状態を維持する」ことを優先しています。
Q2 打者として既に到達している領域とは?
A2 3年連続でハンク・アーロン賞を獲得し、打撃技術・成績ともに最高峰にあります。今後は飛躍ではなく「この打撃レベルをどれだけ長く保てるか」がカギとなります。
Q3 WBCへの参加はどうなるのか?
A3 WBCは長期移動や多試合出場といった故障リスクを伴うため、大谷選手が打者専任(DH専任)や出場を控える形になる可能性があります。ポストシーズンでの戦力ピーク維持を重視する観点から、そのような選択も十分に想定されます。
Q4 今後のキャリアで注目すべき点は?
A4 一つは「打者としての状態を長く維持できるか」、もう一つは「投手として継続的に登板可能な体を作れるか」。そのうえで、チームが掲げるポストシーズン3連覇や10年連続出場という長期目標に向けて、戦略的運用がどう実践されるかが注目です。

