犬のしつけでよく知られる「待て」は、我慢を押しつける命令ではありません。
本質は、衝動が湧いた瞬間に行動を“一拍”だけ遅らせる力を育てることです。
この構造は、大谷翔平選手のプレー設計と驚くほど似ています。
大事な場面ほど焦りや緊張は出ます。問題は感情があることではなく、感情が出た瞬間に反射的に動いてしまうことです。
デコピンの「待て」は、その反射を止める“間の筋肉”を鍛える合図になります。
「待て」は我慢ではなく何を鍛えるのですか?

「待て」が鍛えるのは、感情と行動の間にある“距離”です。
食べたい、走りたい、触れたいという衝動が最大化した瞬間に、あえて一拍を挟む。ここで必要なのは気合の我慢ではありません。
- 今は出ない
- 今は動かない
- 今は待つ
この「今は」を選べることが、判断の質を決めます。
衝動をゼロにするのではなく、衝動があるままでも“選べる”状態を作るのが「待て」です。
衝動は悪者ではないのですか?
衝動は、生き物として自然に湧く反応です。
大事なのは、衝動の強さではなく、衝動に乗って行動が確定してしまう速度です。
「待て」は、その確定を一拍遅らせて、選択の余地を作ります。
焦りを消そうとすると、なぜ判断が遅れるのですか?
多くの人は、緊張しないように、焦らないように、平常心を保とうとします。
しかし実戦では、焦りや緊張は消えません。むしろ勝負どころほど必ず出ます。
焦りを消そうとすると、頭の中は次の処理で埋まります。
- 焦ってはいけない
- 落ち着け
- 平常心でいこう
この“感情の監視”が増えるほど、判断のレーンが混みます。
結果として、迷いが長引き、反応が遅れ、最後は雑な決断になりやすいのです。
「焦りがあること」は失敗ではありません。
「焦りが出た瞬間に、即反応してしまうこと」こそがブレの原因になります。
大谷翔平の打席にある「間」はどこで生まれるのですか?

大谷翔平選手の打席を細かく見ていくと、スイングが速い以前に「出ない決断が速い」ことに気づきます。
見送るときに迷いが少ないのは、落ち着いているからではありません。焦りが出た状態でも、出ない選択を即座に取れるからです。
つまり強さは、「感情がない状態」ではなく、「感情がある状態でも判断が崩れない状態」にあります。
この状態を支えるのが、感情と行動の間にある一拍=“間”です。
「出ない決断」が速いと何が変わるのですか?
出ない決断が速いと、次が整います。
- 追いかけないので崩れない
- 目線が残るので次の球が見える
- 体の力みが減るので再現性が上がる
間がある人は、反射で振りません。
「振る」「見送る」を、焦り込みで選べるから安定します。
「待てる筋肉」は日常でどう鍛えればいいのですか?
“間の強さ”は、性格でも才能でもありません。日常の反応習慣で鍛えられる技術です。
ポイントは、大きな勝負で急に身につけようとしないことです。小さな「待て」を積み重ねるほど、焦りが出ても間が残ります。
今日からできる練習は、派手ではありません。
- すぐ返信しない(30秒だけ置く)
- すぐ結論を出さない(情報を1つ足す)
- すぐ反論しない(相手の意図を1文で言い換える)
- すぐ決めない(次の一手を“仮”で置く)
この“30秒の待て”が、感情と行動の距離を伸ばします。
距離が伸びるほど、焦りの中でも正しい行動を選べる確率が上がります。
待つほどチャンスを逃しませんか?
待てる人は、動くのが遅いのではありません。
「動かない選択」を速くできるから、必要な場面だけ鋭く動けます。
無駄な反射が減るほど、重要な一手の精度が上がります。
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デコピンの待てが教える間の強さまとめ
デコピンの「待て」が教えてくれるのは、落ち着く方法ではありません。
揺れたままでも、行動を一拍遅らせられる“間の強さ”です。
焦りは敵ではなく、本気である証拠であり、重要な場面に立っている証拠です。
消す対象ではありません。焦りがあるまま、正しい行動を選べるかどうかが強さを分けます。
強さとは、静かなことではありません。
揺れたまま、待てることです。

