日本野球では「最強打者=4番」という考え方が根強く残っています。
しかし、メジャーリーグではその常識が覆されつつあります。
ドジャースの大谷翔平選手やヤンキースのアーロン・ジャッジ選手が象徴するように、最強打者を2番に置く「2番最強説」が主流になっているのです。
なぜメジャーでは4番ではなく2番なのか、その背景をデータと戦略から詳しく見ていきます。
なぜメジャーでは「最強打者=4番」が崩壊したのか?

日本の野球では、1番に出塁率の高い俊足打者、2番に小技が得意なバント職人、3・4番に強打者という打順が定着しています。
1番が出塁し、2番が送り、3・4番で得点するという
があり、特に4番に最強打者を据えることで、相手バッテリーは3番との勝負を避けづらくなり、前の打者たちがストライクを多くもらえるという利点があります。
しかし、メジャーではこの考え方がデータによって再構築されています。
得点力を最大化するためには
ことが重要であり、そのために打順を上位に配置する戦略が取られているのです。
監督や選手の好みではなく、確率論が優先されています。
打順によって打席数はどれだけ違うのか?
打順ごとの1試合平均打席数を分析すると、1つ打順が下がるごとに年間143試合で平均15.7打席ずつ少なくなります。
つまり、1番と4番では44.2打席もの差がある計算になります。
この差は、シーズンを通してヒット数や長打数に大きな影響を与えます。
例えば、1番打者はシーズンで最も多く打席が回ってくるため、ヒット数も最多になります。
2番と3番、2番と4番を入れ替えれば、年間安打数はさらに増える可能性があります。
つまり、単に
という発想ではなく、
ことが現代野球の基本になっているのです。
王貞治が1番を打っていたら?通算本塁打数は956本になっていた可能性も?

この理論を象徴するのが王貞治さんの本塁打率です。
通算868本塁打を記録した王さんは、11打席に1本の割合で本塁打を放っていました。
仮に4番ではなく1番を打っていれば、1シーズンで約4本塁打が増える計算になり、22年間で通算88本塁打増加、通算956本という驚異的な数字になっていたと推定できます。
さらに、王・長嶋の「ON砲」が1・2番で並んでいたとしたら、年間本塁打数が5本以上増えていた可能性もあります。
これは単なる仮定ですが、打順の重要性を示す具体的な例といえるでしょう。
昔ながらの「2番=バント職人」は絶滅危惧種?
日本の野球ではセ・リーグとパ・リーグでDH制の有無があり、9番打者に投手が入るケースもあります。
そのため、最強打者を1番に置くと、前が9番打者になり、打線のつながりが悪くなる恐れがあります。
そこで、メジャーでは最強打者を2番に置く
が最適解とされています。
さらに、送りバントをした場合としない場合を比較すると、得点確率は約20%も違います。
近年のデータでは、犠打時の得点確率が38.5%、非犠打時は59.9%と大きな差があることが示されています。
つまり、
は時代遅れとなりつつあるのです。
メジャーが最強打者を4番に置かない理論まとめ
「4番最強説」は日本の伝統に根差した考え方であり、決して間違いではありません。
しかし、得点力や長期的な打席機会を考慮すると、「2番最強説」の方が合理的であることがデータから明らかになっています。
ドジャースの大谷翔平選手とムーキー・ベッツ選手が1・2番で並ぶ打線は、その象徴といえるでしょう。
優勝を目指すチームにとっては、強打者を2番に置くことが「現代の常識」となりつつあるのです。
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よくある質問 / Q&A
Q1. なぜ日本では今でも4番に最強打者を置くチームが多いのですか?
A. 伝統的な打順観や、送りバントを重視する戦術が根強く残っているためです。また、ファンやマスコミも「4番=主砲」というイメージを持っていることが背景にあります。
Q2. メジャーでも4番に最強打者を置くケースはありますか?
A. 全くないわけではありませんが、統計的には2番や1番に置いた方が効率的とされ、強打者を2番に置くのが主流です。
Q3. 2番に置くことでデメリットはないのですか?
A. 下位打線に打撃力がない場合、1番や2番に強打者を置いても得点につながらないリスクがあります。そのため、チーム全体のバランスを考慮する必要があります。
Q4. 今後NPBでも「2番最強説」は広がっていくのでしょうか?
A. 一部の球団ではすでに取り入れ始めています。データ分析の進化とともに、日本でも打順戦略の変化が加速する可能性があります。